寄稿

太極拳と私

私は、今年で80歳になりますが、埼玉県ふじみ野市・楊砂織土曜教室で、養心会太極拳をはじめてからすでに10年になります。私は、昭和39年(1964年・東京初五輪の年)大学卒業後、室蘭市の製鋼所に就職して、石油精製装置の高圧容器の設計・製作を担当するようになりました。世界中の石油会社、エンジニアリング会社を訪問して技術打合せをしたり、関連学協会での技術規格委員会や技術コンフェレンスに出席する機会が多くあり、海外出張も毎月のようにありました。顧客からは、田原は飛行機に住んでいるのかとジョークを云われたり、家族からは、うちは母子家庭のようだと愚痴をこぼされたりしていました。海外出張では、週末など時間があればホテル周辺でジョギングをして時差の解消や健康維持に努めましたので、世界中の大都市の市内や公園はよく走り回りました。
コラム&レッスン

手形の一つ:拳(Quán)について 拳<コブシ>の目、開いています 

「コブシの目」とは、拳を握った時に、丸めた人差指と親指の間に出来上がるわずかの空間です。気功法・東洋健康法では、「コブシの目を閉じて(つぶして)はならない」と言うことは、基本の基本です(武術実際試合とか、空手の組手について、相手に対応しなければならないので、シナリオは別になるでしょう)。「コブシの目」は、常に「開いています」。教室では、<鉛筆3本が入っている>とか、<鶉の卵を握りつぶさない>とか、イメージを持たせるとわかりやすいでしょう。
コラム&レッスン

心・息・動について

気功の三要素に「調身・調息・調心」があります。この三要素は、中国天台宗の智顗(ちぎ)が、座禅による瞑想法を解説した「止観法」の調身・調息・調心の言葉を、そのまま気功の三要素として転用したものです。さて、気功は中国の伝統理論に基づき、体と呼吸と心の三つを関連させて行う健康運動のことですが、まず、体を調えるとは、姿勢を正しくして、体の無駄な力を抜くことです。次に、呼吸を調えること。深くゆっくりとした呼吸によって、体の邪気を吐き、自然のエネルギーを体内に入れること。そして、心を調える。これが最後に来ていることは、心を調えることが一番難しいからです。体を動かすことによって、あるいは深い呼吸によって心が調うのです。
コラム&レッスン

稽古の進め方(稽古順)

楊名時先生は太極拳を「動く禅」と名づけ、そのための稽古の進め方(稽古順)を考案しました。楊名時太極拳の稽古順は、気功の原則を踏まえて心の安静を計る「立禅」から始っています。また、中国古来の気功の八段錦で心・呼吸・動きを結びつけることにより、太極拳にスムース入ることができます。従って、部分稽古を先にやったり、立禅を抜かして通し稽古、または八段錦を省略したりすると、心と体がアンバランスになり、型が崩れたりして効果が半減しますので、稽古順を守りましょう。楊名時太極拳の稽古順(流れ)にはストーリー性があり、健康法の稽古として最適だと思います。
寄稿

師範審査レポートより(36)

定例となった師範審査レポートをご紹介いたします。今回は、東京都在住の方の体験談をご参考していただければと思います。テーマは「人として大事な事を学ぶ」です。60歳になり、何か健康のためにスポーツをやりたいと思っていた時に、たまたま友人よりお誘いがあり、楊名時太極拳を始めました。今思えば本当に幸運だったと思います。
コラム&レッスン

三 穏(さんおん・三つの穏やか)

太極拳の稽古において大切な言葉です。楊名時先生も、ことあるごとにこの言葉を強調しておりました。三穏は、最初が安定して、中頃も、終りも安定していると言う意味です。太極拳は心が静かであることがとても大切で、途中で乱れてはいけないのです。乱れると速度も速くなります。最初から最後まで乱れることなく、速度も一定であることの教えです。確かにひとりで行う太極拳は、雑念が起こったり、集中力に欠けたりしますが、それを防ぐためには、いつもより呼吸を意識してゆっくり行うようにします。そして、呼吸を通して自分の心の声を聞くようにするのです。
寄稿

今 やっていること

コロナウイルの影響で、全国的に緊急事態宣言が出され、鹿児島県出水市でも、太極拳の稽古を続行して事が難しくなり、一か月ほど前から稽古を休んでいます。最近、新しい会員さんも増え、熱心に学んでいらしただけに、稽古を中断する事が残念でしたが、このような状況ですので仕方ありません。そこで、この機会に、楊家養心太極拳の基本を学んで頂こうと、楊麻紗の「DVDでお稽古おきる八段錦.太極拳」のDVDを皆さんに見ていただくことにしました。LINEの太極拳グループに、太極拳24式の動画を毎日2式ずつ送信します。
寄稿

浜辺の早朝太極拳

私の太極拳教室は五つあります。コロナウイルスの影響により3月から教室内での稽古を中止していますが、屋外で稽古できる所が二つあります。その一つが、脇本地区公民館運動場。ここは芝生がありしかも非常に広い運動場なので、皆さん伸び伸びと楽しく演舞をしています(5月1日から閉鎖になりました)。もう一つは、家の近くの浜辺で行っている早朝太極拳です。朝6時30分から7時までの30分間、雨天を除いて毎日、八段錦と太極拳24式を行います。「脇本白潟会」という名前をつけて始めた早朝太極拳は、もう27年経ちました。メンバーは10人ぐらいですが、90歳の浜之上セツさんを筆頭に、平均年齢79歳、皆さんとても元気です。
コラム&レッスン

呼吸法のポイント

新コロナウイルスの影響により教室での稽古ができない現況下で、私の行っている楊名時太極拳の呼吸法のポイントを紹介します。太極拳の場合は、呼吸に拘りすぎると動き(型)が乱れ、流れが止まりますので、自然呼吸です。立禅・八段錦で腹式呼吸を練習していますので、稽古を積み重ねることにより深く長くゆっくりとした呼吸になります。私たちが日常無意識に行っている呼吸は、1分間に18回前後だそうですが、太極拳を長く稽古すると、1分間の8回前後になり、5回ぐらいが理想であると楊名時先生から伺いました。そこで、私は10回位かな?と思い計ってみましたら、5回でした。普段、自分の呼吸の長さなど気にしてなかったのですが、長く稽古を続ければ自然に呼吸が深くなることを実感しました。<継続は力>です。
コラム&レッスン

楊名時先生と三国志の周瑜

東京では今、諸葛菜が花盛りです。ショカツサイと読むこの花の漢字「諸葛」は、『三国志』の諸葛孔明が、戦場・遠征のとき軍隊の食料にしたことに因んだものです(※)。私は高校時代に、吉川英治の小説でこの名を知りましたが、オオアラセイトウ、紫花菜とも呼ばれています。中国が原産で、江戸時代に日本に渡来したそうです。
コラム&レッスン

流水は腐らず

新型コロナウイルス感染拡大に伴う「緊急事態宣言」が、政府から出されてから初めての週末(11日)、東京は朝からすっきりと晴れ渡りました。3月から続いている太極拳の臨時休講からくるストレスと、運動不足を解消するために午後から散歩に出かけました。家から歩いて7分ぐらいにある「神田川四季の道」です。この道は、1,700mにわたって整備された遊歩道で、ジョギングコースともなっています。私の住む東中野地区は道の中盤で、川岸には四季折々の花が咲きます。特に春の桜は見事で毎年花見をするのですが、今年は新型コロナウイルスのため自粛しました。
コラム&レッスン

今こそ「あ・い・お・お・く(愛多く)」を

コロナウイルスが世界で猛威をふるっています。日本もウイルスの感染が拡大しつつあり、不用不急の外出要請だけでなく、週末の外出自粛要請など多方面に大きな影響がでています。私の太極拳の講座は3月・4月の2ヶ月間臨時休講になりました。このウイルスがいつ収束するのか分からない状況が続き、不安が増しています。ストレスが溜まり体調を崩さないために、楊名時先生の太極拳の訓え(愛多く)を紹介いたします。
ニュース

2020年養心会新年懇親会

2月11日、「NPO法人太極拳養心会懇親会」が、帯津良一先生をお迎えして上野・精養軒で開かれました。当日は風もなく穏やかな梅日和で、私たちの私達の会を寿ぐように穏やかな好天でした。不忍池が見える会場には春の日差しが溢れ、和やかな雰囲気の中で懇親会が始りました。楊麻紗先生は、楊名時先生の大好きな梅が満開です。美しい令和と言う年号になって初めての懇親会にお集まり下さいまして、有難うございます。楊名時先生は“心“を最も大切にしました。先日、帯津先生が『週刊朝日』に「ナイスエイジングのすすめ」と題する連載を拝見しました。そこには、正岡子規と朋友との親交の深さが書かれており、ナイスエイジングには如何に友人が大切かを力説していました。私たちの太極拳の同学の関係は、まさに、ナイスエイジングです」と、挨拶されました。
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