流水は腐らず

新型コロナウイルス感染拡大に伴う「緊急事態宣言」が、政府から出されてから初めての週末(11日)、東京は朝からすっきりと晴れ渡りました。3月から続いている太極拳の臨時休講からくるストレスと、運動不足を解消するために午後から散歩に出かけました。家から歩いて7分ぐらいにある「神田川四季の道」です。

この道は、1,700mにわたって整備された遊歩道で、ジョギングコースともなっています。私の住む東中野地区は道の中盤で、川岸には四季折々の花が咲きます。特に春の桜は見事で毎年花見をするのですが、今年は新型コロナウイルスのため自粛しました。

この道を、家々の佇まいや花を眺めながら10分ぐらい歩いていると、30代前後の男性がジョギングをしながら私を追い越して行きました。その男性の半袖のTシャツの背中に、なんと「流水不腐」の文字が白くプリントされているではありませんか。私はこの男性に親しみを感じ、男性の後姿を目で追い続けました。

「流水不腐」は「戸枢不蝕」とセットの言葉で、流水は腐らず、戸枢は蝕まれずと読みます。その意味は、流れる水は腐らないが,よどんだ水は腐ります。よく開閉される開き戸の軸は、虫にくわれません。私達の身体も常に動かすことによって気血の流れを良くしなければ健康を損ねる、という意味です。私が初めてこの言葉を知ったのは、華佗の『五禽戯』でした。

漢代、紀元前後の名医・華佗は、曹操により投獄されますが、獄中にいながらとても若々しく元気であったので、どうしてそんなに元気なのかと獄卒に問われ、私は五つの動物(虎・鹿・熊・猿・鳥)を真似て動いている、と答えたと伝えられています。この五つの動物の動きを纏めたのが『五禽戯』で、気功の原点と言われています。

この逸話は、楊名時先生から太極拳の教室で繰り返し聞かされ、動くことが健康維持に如何に大切かを感じたものでした。今日の散歩で、過ぎし日の楊名時先生の様子を想い出し嬉しくなり、コロナ疲れが軽減しました。好天とジョギングの男性に感謝!

                       楊 麻紗記

2020/4/12



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