楊名時先生のエピソード

師家、楊麻紗先生による楊名時先生のエピソードです。楊先生の人となり、太極拳の道などを知ることができます。

(1)出会い/楊名時先生のエピソード

太極拳の師であり夫であった楊名時先生のエピソードを紹介し、45年に及ぶ太極拳の足跡を辿ってみたいと思います。 私は太極拳を知る前に、中国語の学生として楊名時先生に...

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(2)禁酒禁煙/楊名時先生のエピソード

日本武道館での教室は、地下にある柔道場でしたので畳の部屋でした。太極拳の指導者は、楊先生お一人。30名の太極拳について何も知らない初心者を相手に、楊先生は前に立ったり後ろに...

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(3)武蔵よりも、万人の健康

 楊名時先生は、中国武術だけではなく、柔道、空手、合気道など日本の武道をとても好みました。特に空手は大好きで、日本空手協会の元主席師範中山正敏先生(故人)のもとで、日本武道の心・...

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(4)太極拳?南極圏?

昭和35年頃、楊名時先生が日本武道館で太極拳を指導されておられたときのことです。「今は太極拳が認められなくても、あと十年もすれば人々が疲れて安らぎや癒しを求めるよ...

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(5)テレビ出演

残暑お見舞い申し上げます。 今年は全国で記録的な残暑が続いておりますが、皆様如何お過ごしでしょうかお伺い申し上げます。お待たせいたしました。楊名時先生のエピソード...

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(6)真夏の日比谷公園

 昭和48年、日比谷公園での太極拳も忘れられない思い出です。真夏の8月に楊名時先生と、10人ぐらいの仲間で太極拳のデモンストレーションを行ないました。ちょうどお昼時で、公...

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(7)三笠宮崇仁殿下

昭和46年頃、日本武道館に入会された三笠宮崇仁殿下との思い出も印象に残るものでした。私は三笠宮様のお茶の接待役を仰せつかりましたが、三笠宮様はとても気さくな方でしたので、...

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(8)和して同ぜず

 楊名時先生は昭和48年の冬に、日本武道館を去られました。日本の武道の殿堂に、他国の、しかも健康法がうたい文句の太極拳を指導する楊名時先生を、快く思わない先生方がおられた...

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(9)抱一龕道場

楊名時先生が昭和49年の冬に、日本武道館を去られてからまもなく、抱一龕(ほういつかん)道場で楊名時先生の太極拳の指導が始まりました。抱一龕道場は故中山正敏先生(元日本空手...

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(10)夏の稽古

連日、猛暑の日本列島ですね!主人である楊名時先生が、夏場の稽古についてよく話されたことを、思い出しました。 「太極拳は陰陽が大切なので、夏の暑い...

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(11)見取り稽古

楊名時先生の指導法は、見取り稽古でした。型や足の動かし方といった型の説明は、一切行いませんでした。まして手取り足取りの個人指導など、一度も見たことも聞いたこともありません...

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(12)太極拳の品格

楊名時先生は常々、「楊家の太極拳は清王朝の方々に太極拳を教えたので、何よりも品格を重じた」とおっしゃっておりました。従って、楊名時太極拳も、品格を下げてはいけませんよと。...

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(13)八段錦の膝の屈伸

 八段錦は中国古来より伝わる健康運動で、流派もたくさんあります。楊名時先生は中学校の時に国術部に入り、馬先生より「八段錦」を太極拳の準備運動として習ったそうです。 昭和4...

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(14)ありがとう

2008年のNHK調査で、日本人の一番好きな言葉は「ありがとう」でした。「ありがとう」の一言があるかないかで、人の気持ちやその場の雰囲気がずいぶん変わります。中国語の「シ...

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(15)人の心は天地と同じ

沖縄に、空手の大家八木明徳という方がおられました。楊名時先生より2年ほど早い2003年に故人となられましたが、生前、楊名時先生は八木明徳先生を大変尊敬し、親交を深められま...

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(16)共存共栄

楊名時先生が「養心会」を作りたいと考えたのは、亡くなる5、6年前だと思います。この構想は私だけでなく、何人かの古い仲間にも話されておりました。組織が大きくなるにつ...

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(17)胸に涼風を

私たちは自然の中に生きています。特に日本は四季の変化に恵まれています。そんな日本が大好きな楊名時先生は、太極拳の夏の稽古の仕方を、「胸に涼風を」と表現しています。...

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(18)旅にも道着持参

楊名時先生は道着が大好きでした。楊名時太極拳の正式なユニホームは道着ですが、楊名時先生が特に日本の空手を愛好されたことに由来します。手足の長い楊名時先生は、誰よりも道着の...

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(19)道着の帯

楊名時先生は「道着は稽古着であると同時に、最高の舞台衣装」とよく言われておりました。能舞台で太極拳を舞われた楊先生の道着姿は、凛とした気高さを感じさせます。白の道着に黒帯...

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(20)深大寺と時雨茶屋

6月に入り、木々の青葉が日に日にその色を深めています。調布駅からバスで20分程の武蔵野の面影が残る緑に囲まれた場所に、深大寺があります。深大寺は浅草・浅草寺に次ぐ都内第二の古刹で...

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(21)梅蘭芳の背中の演技

日本と中国が国交回復して今年は38年になりますが、国交回復前は民間の文化交流が盛んで、京劇の代表団も来日されました。楊名時先生は良い演目があると、太極拳の仲間を20~30...

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(22)紅葉の栞

記録的な猛暑が過ぎ、やっと秋らしくなったと思ったら、10月26日はもう冬の到来で札幌は初雪、大阪と関東では木枯らし一号が吹きました。また、29~30日台風の襲来と、先週の...

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(23)太極拳の呼吸は吐き切らない

今年の9月初旬、脱サラして故郷の桐生に帰り、天蚕による織物に挑んでいる人を紹介したNHKの番組がありました。「天蚕」という聞きなれない言葉に興味をそそられ、その放送を見て...

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(24)歳寒くして松柏を知る

街路樹はすっかり葉を落とし、冬の寒さがひしひしと感じられるようになりました。今年も残り少なくなりました。皆様お元気ですか?楊名時先生はこの時期になると、必ず次の句を黒板に...

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(25)ふんわりと柔らかく

桜花爛漫、ようやく春の到来です。新学期も始まりました。しばらくお休みしていた楊名時先生のエピソードも再開です。太極拳の型についても理論についても、楊名時先生は、細かい指導...

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(26)陽の気は癒しのオーラ

この世の全ての物は素粒子の結合から成り立っており、素粒子は常に振動しております。その振動からエネルギーが生まれ、振動数の違いや振動の幅によって、波長が違います。...

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(27)ほどほどに

今年の梅雨明けは全国的に早く、厳しい暑さが続いておりますが、皆様お元気ですか?今年の夏は“節電”のことも考えなければいけませんので、どのような暑さ対策をとればよいのか迷う...

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(28)生涯の親しい友

7月2日に行われた「楊名時先生七回忌法要」は、皆様のご協力により大成功でした。楊名時先生も、天国で喜んでおられることでしょう。七回忌法要の申込書に、竹内敦師範は短い文を書き添えて...

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(29)「型」と「形」

 最近読んだ本に、プロ野球・楽天イーグルス野村克也前監督の『私が野球から学んだ人生で最も大切な101のこと』(海竜社刊)があります。その本の中に、「型」と「形」について興...

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(30)縁は異なもの味なもの

この夏、長野県の須坂に行った。うちの息子のお嫁さんの実家はここで蕎麦屋をやっている。美味しい十割蕎麦や、鳥の燻製、夕顔などの珍味や地元のお酒に舌鼓を打ち話題は盛り上...

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(31)体が微笑む

天高く馬肥ゆる、実りの好季節になりました。今年も太極拳のお仲間より、栗を頂きました。丹波栗の見事な粒ぞろいのもので、自宅の庭に栗の木があるのだそうです。そして、荷の中に「...

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(32)正月料理・大根餅

皆さま、「大根餅」をご存じですか?大根餅は中国のお正月料理には欠かせないものです。私が初めて楊名時先生と大根餅を食べた時、「え、これが餅?」と驚きました。私は日本の餅をイ...

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(33)冷水摩擦

立春とは名ばかりで厳しい寒さが続き、日本海側では大雪になっております。インフルエンザも流行っておりますが、皆様お元気ですか?楊名時先生の一日は、冷水摩擦から始まり...

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(34)大仏様と同じ手の形

楊名時先生のお供で、奈良を訪れた時のことです。関西での太極拳の大きな行事を無事終え、楊名時先生はお疲れのご様子だったので、常宿にしている奈良ホテルで休んでいただき、三人の...

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(35)長い息は長生きに通ずる

最近読んだ本に『実年齢より20歳若返る生活術』があります。ガン専門医の南雲吉則先生が書かれたもので、大変参考になりました。南雲先生はお父様が心筋梗塞で倒れられたことで、45歳のと...

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(36)優しいまなざし

楊名時先生は太極拳を稽古する時、まなざしの優しさを力説しています。昔から目は心の窓といわれます。悲しい時は悲しい目に、怒りや不満の時は目付きがきつくなりますので、特に指導...

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(37)前編 まろやかに、流れるように

不思議なことで、楊名時先生が太極拳を自ら演舞指導する映像はほとんどありません。1986年に池袋コミュニティ・カレッジ通信教室で作成されたビデオテープがその一つです。コミュ...

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(37)後編 いつでも、 どこでも、 だれにでも

先週に続いて、楊名時先生の太極拳の解釈を、ご紹介いたします。太極拳のもう一つの大きな特徴に、動作を深く長い呼吸に合わせて行なうということがあります。太極拳の呼吸は...

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(38)武は戦いを止めること

太極拳の稽古の中間に、楊名時先生は必ず20分前後の間をとり、色々なお話をしてくださいました。ゆったりとした語り口と言葉の間のとり方が絶妙で、いかにも中国の大人といった感じです。私...

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(39)歩く時は足の裏にも気を配る

秋暑お見舞い申し上げます。彼岸が近いというのに、真夏日が続いております。皆様おげんきですか?この秋暑はしばらく続くそうです。体調を崩さぬようにお気をつけください。...

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(40)気について 1 楊名時先生の気と同調

 「気」はまだ科学上はっきりと解明されていませんが、何千年も昔から「気は見えずして働きあるのみ」といわれています。その見えない気の働きを太極拳の教室で体験してから...

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(40)気について 2 神仏の見えない力

 そのうちにOさんは私にも反応するようになりました。ある時、私は七段錦で満身の気を込め男性の心臓めがけて拳を突き出したところ、“ギャー”と絶叫しながら大の男が駆け回ったの...

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(41)冠雪の富士山

 立春とは名ばかりで厳しい寒さが続いております。皆様おげんきですか。この寒の戻りはしばらく続くそうです。風が流行っているうえにスギ花粉も飛び始めました。体調管理に...

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(42)霧島神宮へ再び  前編 

 以前、楊名時先生のエピソード(40)で述べました気について、もう一度触れたいと思います。 「気」はまだ科学上ははっきりと解明されておりませんが、「気は見えずして...

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(42)霧島神宮へ再び  後編 

 5月20日、私たち一行はレンタカーで桜島を一周し、一路霧島神宮に向かいました。鹿児島市内のホテルを出発した時は曇り空でしたが、霧島市に近づくにつれ雲が薄くなり、霧島神宮...

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(43)甘酒

 五黄という年のせいでしょうか、日本列島は猛暑、ゲリラ豪雨、東北の長雨など激しい気象にみまわれておりますが、皆様お元気ですか。太極拳で良い汗をかいて、熱中症・夏風邪などに...

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(44)最高のものは一回

 俳優の高倉健さんが11月3日、文化勲章を受章されました。フアンの一人として、心からお喜び申し上げます。昨年の9月8日、NHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」を...

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(45)梅蘭芳芸術特選「覇王別姫」

虞美人草(ヒナゲシ) 安田 要さん撮影 去る5月14日、中国国家京劇院による「覇王別姫」を、志木教室の仲間と観ました。10数年ぶりの京劇で私の好きな演目と同時に、楊名時...

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(46)冷水摩擦50年

 寒中お見舞い申し上げます。もうすぐ立春だというのに、大寒波が日本を襲っています。30日には都心でも積雪がありました。また、週末には北海道や日本海側は台風並みの爆...

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(47)世界一美味しい餃子

JR東京駅八重洲口から3分ほどの所に、本格中華とジャンボ餃子の老舗「泰興楼」があります。この店は戦後間もなく初代店主の于さんが開いたもので、3代目の現代でもその製法と味を...

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(48)温め酒

「帯津三敬塾クリニック2015年カレンダー」より<林間に酒温めて紅葉焼く>という故事があります。白居易が陝西省の仙遊寺に遊んだ時に詠んだ句で、初冬の風流を述べたものです。...

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(49)好むよりは楽しむ

楊名時先生の太極拳の指導法には、決まった順序があります。ニイハオの挨拶から始まり、立禅、用手、八段錦、通し稽古までが前半で、後半は部分稽古、通し稽古、八段錦、立禅、甩手、...

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(50)卓球

8月5日~21日までブラジル・リオデジャネイロで開かれた第31回オリンピックでは、日本選手は史上最多の41個のメダルを獲得し、日本中を沸せました。それから20日余...

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(51)座右銘

海竜社出版本 「幸せを呼ぶ楊名時八段錦・太極拳」より22日(土)、プロ野球日本シリーズが開幕し、32年ぶりの日本一を目指す広島カープが、初戦と第二戦をものにしました。また...

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(52)胸(心)に涼風を

7月19日に、関東甲信・中国・近畿・東海地方は梅雨明けをしました。関東地方では去年より10日、東海地方では9日早い梅雨明けで厳しい暑さが続いています。一方、6日に起きた九...

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(53)西瓜

脳のトレーニングと自然との接点を忘れないために俳句を始めて、はや25年になった。太極拳の指導を終えて月1回の句会に出るのが精一杯で、主に句を作るのは句会場までの電車の中で...

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(54)渋沢栄一の写真に恐縮

昨年の12月、某民放のテレビのクイズ番組で、日本の近代化に貢献した人物ベスト1は誰か、というものがありました。私も回答者になったつもりで考えてみました。西郷隆盛、大久保利...

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(55)秘すれば花

去る4月21日、「第14回なにわ友の会健康太極拳交流会」に招かれました。10時から始ったプログラムの締めとして、茶木康晴師範(天寿太極拳初代宗家)の天寿太極拳の演...

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(56)太極拳の稽古で学んだ論語

楊名時先生は、「太極拳は道教、儒教、仏教の哲学を基とした文化遺産である」と常々仰っておりました。とりわけ、儒教は昔から中国人の思想の柱であり、身を修める規範であると。楊名...

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(57)楊名時先生と空手

私は、楊名時先生の太極拳を「中国生まれの日本育ち」と言っております。なぜならば、楊先生の太極拳は中国の太極拳と違い、禅と日本の武術(空手)を融合させた太極拳だからです。...

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(58)芸は間口を広げないで深めよ

この言葉は、1986(昭和61)年6月に楊名時八段錦・太極拳友好会の第12回総会に、特別ゲストとして中国の李天驥先生をお招きした時、李天驥先生が色紙に書いて楊名時先生に贈...

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(59)太極拳言語「心」

本日、1月3日楊名時先生の月命日で、高尾のお墓参拝いたしました。墓石を磨いて、お線香を上げて、手を拝みながらずいぶん前の先生の一言を思い出しました。-「漢字は難し...

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(60)ことばの「品格」

楊名時先生は大変忙しい方であったにもかかわらず、月一回家族で夕食を共にしていました。ほとんどは、先生の家でした。メニューも定番で、行きつけのすし屋さんから持ち帰るのは、私...

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(61)楊名時先生の健康法「冷水摩擦」

中国 桂林にて、楊名時先生は布靴(カンフーシューズ) 楊名時先生の健康法には、太極拳のほかに「冷水摩擦」があります。冷水摩擦をやるきっかけは、若い時からのアレルギー性...

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(62)太極拳は「杉」と同様に成長する

ある日(20年前近くのことです)、楊名時先生の好きな餃子屋で昼食を食べたときに面白い会話が交わされました。楊名時極拳の愛好家に興味深いかも楊名時先生:「わ...

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(63)初伝の語句(続けて稽古するならば)

楊初伝の語句(続けて稽古するならば)楊名時先生は指導者を育て、太極拳を普及させるために免許の階位制度を作りました。初伝・中伝・奥伝・指導員・準師範・師範の六階位で...

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