(21)梅蘭芳の背中の演技

日本と中国が国交回復して今年は38年になりますが、国交回復前は民間の文化交流が盛んで、京劇の代表団も来日されました。楊名時先生は良い演目があると、太極拳の仲間を20~30人連れて、それを観に行きました。5回位は先生と観ています。

京劇と言えば梅蘭芳が有名で、楊名時先生は太極拳の授業中に、何度も梅蘭芳の話をされました。梅蘭芳(1894~1961)は女形の京劇俳優で、祖父母・父母とも有名な京劇俳優と言う梨園の名門で育っています。1956年5月に来日し、60歳とは思えない艶のある演技で日本のファンを魅了し、歌舞伎の中村歌右衛門と面会し意気投合したことなどは、どこかの記事で読んだことがありましたが、私は一度も梅蘭芳の舞台や映像でも見たことがありません。

楊名時先生は、梅蘭芳は背中の演技が上手な役者だったと語っていました。顔は正面を向いていても、常に背中にも神経を配っていたとのこと。「私たちの太極拳も、人に見える正面だけでなく、背中にも注意を払って演舞しなければいけないよ!」と教えて頂きました。

梅蘭芳の出し物で楊名時先生が一番好きなものは、「貴妃酔酒」です。絶世の美女・楊貴妃が酒に酔って舞う姿は、どんなに美しかったことでしょう。

     
                         楊 麻紗

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