楊名時先生は大変忙しい方であったにもかかわらず、月一回家族で夕食を共にしていました。ほとんどは、先生の家でした。メニューも定番で、行きつけのすし屋さんから持ち帰るのは、私ディミトリーの役割でした。
ある日、いつもの家政婦さんがお休みのため、片付けを皆でやりました。
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実は、楊名時先生は東京都中野区に住んでいた自宅の設計はとても珍しいです。玄関から入ると、一間の大部屋があります。当初は太極拳稽古の道場として使うつもりでした。出来るだけ多くの生徒に入っていただくため、キッチン等のスペースを狭くしてしまいました。
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初めてキッチンに入ったときに、本当に狭く感じました。そのある日、お盆を戸棚に入れようとしたところ、あるクロイコンチュウが急に飛び出ました。その瞬間に、後ろから楊名時先生の手が飛びました。手の形は傘で、虫の上に被さりました。先生は手を離すと、ぴたりと止まり動けなくなっていました。先生の手も汚さず、SHOCK WAVEの効果でしょう。
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さて、本題の「ことばの「品格」」に入ります:
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上記の瞬間を見た私は直ぐ反応して、
「先生、すごいですよ!」
楊名時先生はゆっくりと、
「ピングオ、品格です」
私は、
「…」
楊名時先生は、
「あなたは、若者のことばを使っていいですけど、日本語には好いことばが沢山ある。たとえば、<非常に>とか、<とても>とか。褒めることを具体的に言った方がいい。なにを見て褒めているかを直接に言った方がいい」と。
楊名時先生は、何秒間の間を取って、離し続けます、
「たとえば、非常に分かりやすいとか、とてもはやいとか、特別に美味しいとか、というように」。
私は、
「失礼いたしました!」と、軽く頭をさげると、
楊名時先生は、
「謝らなくても大丈夫だよ」と、逆に励ましてくださったように思いました。
私は、
「はい」と返事をして、皿洗いを始め、楊名時先生は直ぐにお風呂に入りました、というエピソードです。
そのときから、<スゴイ>ということばをあまり使わなくなりました。出来るだけ、具体的に楊名時太極拳を伝えるように頑張っています。
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表面の写真の解説:偶然の偶然「世中は狭い」
写真は、楊名時先生のエピソード(50)「卓球」、2016年9月11日掲載のものを再び使いました。
楊名時先生は教室等で自己紹介するときにお茶目で、
-「ワタクシハキョウトダイガクヲデマシタ」とのいうことば通常でした。
そのことばが響かれますと、安心して、「品格・CHARACTER・СИМВОЛ」の意義を世界共通に伝わる感じがします。
さて、この写真ですが、とても稀な写真です。楊名時先生の大学時代のものです。左襟に取り付けられている「J」のバッジですが、どう言うものでしょうか。
たまたま、京都で家族の行きつけの店を訪れたとき、偶然にも隣に楊名時先生の後輩の方がおり、お互いに話が盛り上がりました。そして、ホームページの楊名時先生の写真が見せると、相手は、
「懐かしいよ、あのとき、各学部の襟英文字が異なった。自分は物理学部ですが、たぶん(J)は(JUSTICE)でしょう」と。
私は、
「あ、そうですか、分かりました。」と。
後ほど、その話を教室に持っていくと、大手会社の人事担当を勤めた方から「京大ユニホームの(J)は(JURIDICAL)、いわゆる法学部です」と言われ、不思議な展開でした。
ディミトリー師範記