
2025年5月31日(土)、東京・綾瀬の東京武道館にて「楊名時先生を偲ぶ交流大会・総会及び関東地区審査会」が開催されました。
今年は生憎の雨模様で、肌寒い天候ではありましたが、各地から70名のお仲間が参加してくださいました。
午後1時、司会の有村まさ美師範の開会の辞の後、楊名時先生を偲び、全員で一分間の黙祷を捧げました。

はじめに楊麻紗先生の挨拶で「楊名時先生が亡くなられて20年の節目にあたります。天気予報は雨でも、先生の神通力で晴れると思っていましたが、20年も経つと神通力が弱まってしまったのか」と笑いを誘いながら、参加者への感謝を述べられました。
次にNPO法人太極拳養心会の総会です。楊麻紗先生より、令和6年度の事業報告、会計報告があり、令和7年度活動予算書は拍手をもって承認されました。今後、太極拳の普及のため、自治体の講座や神社仏閣での演舞やオンライン研修の内容など検討中です、とのお話がありました。
続いて、全員で八段錦前半と太極拳を松の床材のやさしさを感じつつ、心を合わせて行いました。

その後、関東地区審査会が行われ、5教室15名の方が、審査に臨まれました。楊麻紗先生より、「同じ教室でいつもお稽古しているように動きが揃っていて良かったです。師範に臨まれたお二人は、レポートも素晴らしく、努力して稽古を続けている感じがして申し分ありません」と講評をいただき、大きな拍手の中で免状授与、写真撮影を行いました。


休憩をはさみ、参加者の紹介がありました。関東圏のみならず、岩手、大阪、新潟からの参加に互に大きな拍手で歓迎し合いました。
さて、楊麻紗先生のご講話です。「今日の楊名時先生の写真は、国立 劇場で演舞を行った時、白鶴の舞をイメージして特注した演舞服です。何故白鶴の舞と言われるようになったのか・・・太極拳は張三豊が鶴と蛇の闘争を見て作ったものと伝説上言われていますが記録では、太極拳の開祖は陳式太極拳をつくった陳王廷です。中興の祖の陳長興は、熱心で試合に勝利した楊露禅に認可を与え、楊式太極拳ができました。その後、楊露禅が北京で清朝の人たちに教えるようになり、三代目楊澄甫の代になると武術色が弱まり、「真綿の中に針を蔵した芸術」と言われるよう、柔らかくゆりした健康法・舞に変化します。
さらに、京劇の名士梅蘭芳に太極拳を指導したこともあり、芸術として舞の要素が出てきます。そして、健康になることで終わりではなく、美的要素が加わり、太極拳は生涯高みへ向かう目標になります。楊名時先生は、丹頂鶴が一羽はばたくと仲間も一緒にはばたく姿が舞のように美しいと、そこから【白鶴の舞】とネーミングされたそうです。また、健康法だけではなく、哲学として老子の教えが加わります。

ストレスの多い世の中、心を静めて気持ち良く動くことで、良い気が出て、一人が万人を癒やし、万人が一人を癒やすという、楊名時先生の教えとなっています、とお話しくださいました。続く全員での太極拳、八段錦は、穏やかでしっとりと、充実感あふれる太極拳となりました。
閉会の辞は、楊砂織師範より、参加者への謝辞と共に「審査時の演舞は素晴らしく、養心会が益々発展していくエネルギーを感じました」とお言葉をいただきました。
皆様のご協力により、楊名時先生を偲ぶ交流大会・総会及び関東地区審査会を滞りなく終えることができました。心より感謝申し上げます。


文:森 智恵
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