(42)霧島神宮へ再び  後編 

 5月20日、私たち一行はレンタカーで桜島を一周し、一路霧島神宮に向かいました。鹿児島市内のホテルを出発した時は曇り空でしたが、霧島市に近づくにつれ雲が薄くなり、霧島神宮に着いた時は快晴でした。杉木立の参道を抜けると、鮮やかな朱色の社殿が見え、新緑の森の中に映えていました。

 鳥居を潜るころから、ピリピリと体に気を感じるようになりなり、樹齢800年のご神木の前では強くそれを感じました。10年前、私はここで太極拳を舞いました。今回は舞いませんでしたが、仲間の皆さんも気を感じたとのことでした。やはり、ここはパワースポットなのです。

 次に、霧島神宮から車で15分ほどの高千穂河原に行きました。ここは高千穂峰の西麓にあり、散策路やキャンプ場が整備され、高千穂峰の登山にもなっています。大小23の火山からなる霧島連山のなかで、高千穂峰は天孫降臨の山として最も有名で、その山容は実に優雅で美しいものでした。木の生えない山肌を満開のミヤマキリシマ(つつじの一種)がピンクに染め上げ、まさに絶景でした。

 散策路を少し登った所に、天孫降臨斎場があります。ここは中世に霧島神宮があった所で、そこに立つと不思議な感覚に襲われました。神話の世界にタイムスリップしたようでもあり、日本人としての遺伝子を感じたようでもあり、また、神聖な山の気に全身が打たれたようでもありました。「ここで、太極拳を舞いましょう」との仲間の声に我に返り、太極の華を高千穂峰と斎場に捧げました。

 楊名時先生が直観で「奉納演舞」を思いついたのは、目に見えない神仏の力を感じて欲しかったのではないでしょうか。 今回の霧島神宮再訪で、そのことを改めて思いました。

楊 麻紗

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