コラム&レッスン

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道着の帯

楊名時先生は「道着は稽古着であると同時に、最高の舞台衣装」とよく言われておりました。能舞台で太極拳を舞われた楊先生の道着姿は、凛とした気高さを感じさせます。白の道着に黒帯が、全身を引き締め安定感を与えます。
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楊名時太極拳:手の形

体全体を運ぶのは、手のひらにある、ということですね。「運」は運行すること、運ぶこと、運用すること。手のひらを「手心」、手の甲を「手背」と言いますが、手のひらには労宮をはじめとして大事なツボがたくさんあります。この手のひらに気をこめて、体を運ぶのです。  人間の手は、ちょうど、あひるが水中を泳ぐときの足かきのように、体を動かすときに体全体のバランスをとり、船のかじのような役目をするのです。太極拳では、この自然の理に従って体を動かし、バランスをとる上で、手のひらを大事にしているのです。
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同学(トンシュエ)の意味

中国語の「同学(」は、同じ学校で学ぶ、学友などの意味があり、また教師が学生に呼びかける言葉や学生相互にも使います。楊名時先生は大学で中国語の先生をされておりましたので、太極拳を稽古する方々を「共に学ぶ仲間」の意味で、名前の後に「同学」をつけて呼ぶことが多かったのです。私たちも楊名時先生に倣って、この言葉を使うようになりました。例えば、楊麻紗同学というふうにです。
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心身の声を聞く

楊名時太極拳で行う「八段錦」は、中国の古くから伝わる気功の一種ですが、楊名時先生が太極拳の大切な準備運動として取り入れたことには、大きな意味があります。しかも、八段錦は力強く行う「武式」と柔らかく行う「文式」がありますが、楊名時先生は「文式」を選んでおります。その理由は、八段錦・太極拳は技の競い合いではなく、その日の自分の心と体の対話、つまり「心身の声を聞きことが一番大切」という持論をお持ちだからです。
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動きが少なくて良いものを続ける

楊名時太極拳には、八段錦と太極拳24式の二つしかありません。これは楊名時先生が1967年に日本武道館で初めて太極拳を指導されたときから、一貫して変わりませんでした。太極拳を長年稽古された師範の方から、「他の太極拳や気功を指導されたらいかがですか」との声があがりましたが、いつも次のように答えていました。「色々なことを知っていることが良いのではありません。大切な基本の動作や技を毎日繰り返して稽古を重ね、極めて行くことによってこそ技は深まり、心身の健康につながるのです」と。
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手形の一つ:拳(Quán)について 拳<コブシ>の目、開いています 

「コブシの目」とは、拳を握った時に、丸めた人差指と親指の間に出来上がるわずかの空間です。気功法・東洋健康法では、「コブシの目を閉じて(つぶして)はならない」と言うことは、基本の基本です(武術実際試合とか、空手の組手について、相手に対応しなければならないので、シナリオは別になるでしょう)。「コブシの目」は、常に「開いています」。教室では、<鉛筆3本が入っている>とか、<鶉の卵を握りつぶさない>とか、イメージを持たせるとわかりやすいでしょう。
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心・息・動について

気功の三要素に「調身・調息・調心」があります。この三要素は、中国天台宗の智顗(ちぎ)が、座禅による瞑想法を解説した「止観法」の調身・調息・調心の言葉を、そのまま気功の三要素として転用したものです。さて、気功は中国の伝統理論に基づき、体と呼吸と心の三つを関連させて行う健康運動のことですが、まず、体を調えるとは、姿勢を正しくして、体の無駄な力を抜くことです。次に、呼吸を調えること。深くゆっくりとした呼吸によって、体の邪気を吐き、自然のエネルギーを体内に入れること。そして、心を調える。これが最後に来ていることは、心を調えることが一番難しいからです。体を動かすことによって、あるいは深い呼吸によって心が調うのです。
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稽古の進め方(稽古順)

楊名時先生は太極拳を「動く禅」と名づけ、そのための稽古の進め方(稽古順)を考案しました。楊名時太極拳の稽古順は、気功の原則を踏まえて心の安静を計る「立禅」から始っています。また、中国古来の気功の八段錦で心・呼吸・動きを結びつけることにより、太極拳にスムース入ることができます。従って、部分稽古を先にやったり、立禅を抜かして通し稽古、または八段錦を省略したりすると、心と体がアンバランスになり、型が崩れたりして効果が半減しますので、稽古順を守りましょう。楊名時太極拳の稽古順(流れ)にはストーリー性があり、健康法の稽古として最適だと思います。
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三 穏(さんおん・三つの穏やか)

太極拳の稽古において大切な言葉です。楊名時先生も、ことあるごとにこの言葉を強調しておりました。三穏は、最初が安定して、中頃も、終りも安定していると言う意味です。太極拳は心が静かであることがとても大切で、途中で乱れてはいけないのです。乱れると速度も速くなります。最初から最後まで乱れることなく、速度も一定であることの教えです。確かにひとりで行う太極拳は、雑念が起こったり、集中力に欠けたりしますが、それを防ぐためには、いつもより呼吸を意識してゆっくり行うようにします。そして、呼吸を通して自分の心の声を聞くようにするのです。
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呼吸法のポイント

新コロナウイルスの影響により教室での稽古ができない現況下で、私の行っている楊名時太極拳の呼吸法のポイントを紹介します。太極拳の場合は、呼吸に拘りすぎると動き(型)が乱れ、流れが止まりますので、自然呼吸です。立禅・八段錦で腹式呼吸を練習していますので、稽古を積み重ねることにより深く長くゆっくりとした呼吸になります。私たちが日常無意識に行っている呼吸は、1分間に18回前後だそうですが、太極拳を長く稽古すると、1分間の8回前後になり、5回ぐらいが理想であると楊名時先生から伺いました。そこで、私は10回位かな?と思い計ってみましたら、5回でした。普段、自分の呼吸の長さなど気にしてなかったのですが、長く稽古を続ければ自然に呼吸が深くなることを実感しました。<継続は力>です。
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楊名時先生と三国志の周瑜

東京では今、諸葛菜が花盛りです。ショカツサイと読むこの花の漢字「諸葛」は、『三国志』の諸葛孔明が、戦場・遠征のとき軍隊の食料にしたことに因んだものです(※)。私は高校時代に、吉川英治の小説でこの名を知りましたが、オオアラセイトウ、紫花菜とも呼ばれています。中国が原産で、江戸時代に日本に渡来したそうです。
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流水は腐らず

新型コロナウイルス感染拡大に伴う「緊急事態宣言」が、政府から出されてから初めての週末(11日)、東京は朝からすっきりと晴れ渡りました。3月から続いている太極拳の臨時休講からくるストレスと、運動不足を解消するために午後から散歩に出かけました。家から歩いて7分ぐらいにある「神田川四季の道」です。この道は、1,700mにわたって整備された遊歩道で、ジョギングコースともなっています。私の住む東中野地区は道の中盤で、川岸には四季折々の花が咲きます。特に春の桜は見事で毎年花見をするのですが、今年は新型コロナウイルスのため自粛しました。
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今こそ「あ・い・お・お・く(愛多く)」を

コロナウイルスが世界で猛威をふるっています。日本もウイルスの感染が拡大しつつあり、不用不急の外出要請だけでなく、週末の外出自粛要請など多方面に大きな影響がでています。私の太極拳の講座は3月・4月の2ヶ月間臨時休講になりました。このウイルスがいつ収束するのか分からない状況が続き、不安が増しています。ストレスが溜まり体調を崩さないために、楊名時先生の太極拳の訓え(愛多く)を紹介いたします。
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