心身の声を聞く

楊名時太極・八段錦見取稽古、朝日カルチャーセンター水曜日師範課クラス

現・楊麻紗理事長が指導

 楊名時太極拳で行う「八段錦」は、中国の古くから伝わる気功の一種ですが、楊名時先生が太極拳の大切な準備運動として取り入れたことには、大きな意味があります。しかも、八段錦は力強く行う「武式」と柔らかく行う「文式」がありますが、楊名時先生は「文式」を選んでおります。

 その理由は、八段錦・太極拳は技の競い合いではなく、その日の自分の心と体の対話、つまり「心身の声を聞きことが一番大切」という持論をお持ちだからです。

 まず立禅で、深い呼吸により心を静めます。そして八段錦では、呼吸に合わせてゆっくりと動きます。この時大切なのは、静かな状況の中で動くこと。音楽や騒音があったりすると気が散ってしまって、自分の内面に入ることができにくくなるためです。

 呼吸を導き手として、ゆっくりと体を動かし耳を澄ましていると、心配事や気になっていることが消え、心が安らかになっていきます。心が安らかになると、体調のちょっとした変化にも気づきます。

 また、忙しい日常から離れて、心と動きと呼吸が一体となった時、体の芯が解放され、気持ちよくなり自分の心との対話を愉しむことができるのです。

 楊名時八段錦*太極拳が気功太極拳といわれる所以は、ここにあります。

               楊 麻紗記

2021/8/29

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