楊名時先生のお供で、奈良を訪れた時のことです。関西での太極拳の大きな行事を無事終え、楊名時先生はお疲れのご様子だったので、常宿にしている奈良ホテルで休んでいただき、三人の仲間と東大寺に行きました。
高校の修学旅行と合わせて三度目の参拝ですが、奈良時代に聖武天皇が国力を尽くして建てた総国分寺だけあって、何度訪れても伽藍の偉容と大仏の大きさに驚かされます。ご本尊の大仏の高さは14.7メートルあり、法華経の説く大宇宙を象徴している仏様とのこと。
正面で大仏の全体像を拝見合掌し、後ろに回って斜めから大仏の右手を見て、「あっ!楊名時先生太極拳の手と同じだ!」と心で叫びました。衆生を救うために前方に出された大仏様の右手は、伸びきることはなく、肱と肩にゆるみがありました。太極拳のポイントである「力を抜く」ことのカギを、大仏様の右手の形で学びました。嬉しい発見でした。
楊 麻紗