(22)紅葉の栞

記録的な猛暑が過ぎ、やっと秋らしくなったと思ったら、10月26日はもう冬の到来で札幌は初雪、大阪と関東では木枯らし一号が吹きました。また、29~30日台風の襲来と、先週の日本列島は大荒れでした。

そんな10月26日、長岡に行ってきました。小説「雪国」で有名な上越国境の長い清水トンネルを抜けると、越後湯沢ですが、車窓から眺める谷川岳はすっかり雪化粧をしていました。近くの山々はまだ青く紅葉していません。そのチグハグさが今年の異常気象を表しているようで、薄ら寒さを感じました。

楊名時先生は、旅行が大好きでした。その旅が公的でも私的であっても、博物館や記念館などに入らず、もっぱら野外の景色を眺めたり、気に入った大樹の前に立ち気功を行ったり、散策をしたりして”浩然の気”を養うことが常でした。

この時期、楊名時先生は旅先で拾った紅葉を手帳にはさみ、栞にして東京に持ち帰ります。それが私や教室の皆さんへのプレゼントだったのです。そして、「どこどこの紅葉だよ、きれいだね...」と言って、ニコニコしながら見せてくださる、心配りの厚い楊名時先生でした。

楊名時先生の紅葉の栞を思い出して、長岡のホテルの下を見ると、桜紅葉がチラホラと始まっていました。一枚を拾ってきましたので、皆さんにお届けします。楊名時先生のお心を感じていただきたくて...。

楊 麻紗

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