(24)歳寒くして松柏を知る

街路樹はすっかり葉を落とし、冬の寒さがひしひしと感じられるようになりました。今年も残り少なくなりました。皆様お元気ですか?

楊名時先生はこの時期になると、必ず次の句を黒板に大きく書きます。「歳寒知松柏」と。松はマツのこと、柏はヒノキを指し、松柏は常緑樹の代表です。

落葉樹は春や夏に青々と繁っていても、冬になると凋んだり、裸木になったりしますが、松柏だけは凋まずに青々として色を変えずに凛と立っています。このことは寒い冬にならなければ分かりません。

それと同じように、私たち人間も逆境になった時に初めてその人の真価が分かるのです。順境の時は人が応援しますが、逆境の時は人が離反するのが世の常だからです。

この句は人の道として変節しないことの大切さを説いたもので、楊名時先生が毎年紹介する意図は、太極拳の仲間の結びつきは春夏秋冬変わらぬ松柏のようであって欲しいとの願いなのです。

出典は『論語』の子罕第九、「子曰わく、歳寒くして、然る後に松柏の彫むに後るることを知る也」です。

楊 麻紗

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