心・息・動について

 気功の三要素に「調身・調息・調心」があります。

 この三要素は、中国天台宗の智顗(ちぎ)が、座禅による瞑想法を解説した「止観法」の調身・調息・調心の言葉を、そのまま気功の三要素として転用したものです。

 さて、気功は中国の伝統理論に基づき、体と呼吸と心の三つを関連させて行う健康運動のことですが、まず、体を調えるとは、姿勢を正しくして、体の無駄な力を抜くことです。

次に、呼吸を調えること。深くゆっくりとした呼吸によって、体の邪気を吐き、自然のエネルギーを体内に入れること。そして、心を調える。これが最後に来ていることは、心を調えることが一番難しいからです。体を動かすことによって、あるいは深い呼吸によって心が調うのです。

 楊名時先生は、「調身・調息・調心」を「心・息・動」という言葉に置き換えています。

それは太極拳において、何よりも人は心が一番大事で、心があって初めて人は行動を起こす。人は心の存在である、との考えに基づいています。心から太極拳を愛し、呼吸を調え、体を動かすことによって健康が得られるのです。そして、自分だけでなく、みんなの健康と幸せを念じながら太極拳を舞う、という楊名時先生の深い思いが、「心・息・動」の言葉に込められています。

楊 麻紗記

2021/4/4

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