名時先生を偲び唐招提寺へ

   去る3月30日(金)桜満開の東京を発ち、奈良の唐招提寺へ参拝に行きました。毎年楊名時先生が鑑真和上様の墓所をお尋ねするために、当寺を訪れておりましたのを私が引き継いだためです。

   当日は早朝から雷雨。これでは参加者も少ないのではと心配しましたが、何と言うことでしょう。集合時間の10時30分ごろには、快晴となり唐招提寺の境内には、爽やかな風が吹きわたつていました。雨上がりのしっとりとした土を踏みしめて、楊名時先生がいつも演舞される境内の東側の広場にむかいました。約100名の仲間が集まってくださいました。ありがたいことです。そして、生前楊名時先生が太極拳を演舞された場所で、楊先生を偲んでみんなで太極拳をやりました。

   雨上がりの境内の清浄な空気。三分咲きの桜の初々しさ。青空に浮かぶ白い雲。鶯も上手に鳴いて、私たちを歓迎しています。楊名時先生がお導きくださった最高の日和の中で、ゆったりと太極拳を舞いました。参加者一人一人の胸の奥に、亡き楊名時先生への感謝の想いを込めながら。

   その後 、鑑真和上様の墓所へむかいました。墓所までの小道は椿の花のトンネルです。かなりの大木で、赤、白、絞りなどがありましたが、赤い色の藪椿がほとんど。その小道の途中に墓所の入り口があります。中に入ると、そこは苔の庭。夜来の雨を十分に吸い込み緑の色を増した苔に、木漏れ日が差し込んで見る人を感動させます。

   線香とお花を捧げ、鑑真和上様と楊名時先生の遺徳を偲びました。参加者は来年の参拝を約し、昼食会場と家路へとそれぞれむかいました。奈良は日本の「まほろば」です。世界遺産に指定されている唐招提寺は、「楊名時太極拳のまほろば」です。そのことを強く感じて帰ってきました。

大寺の苔に息づく落椿

楊麻紗記

(写真提供 添田 康一様)

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