唐招提寺参拝、そして奉納演舞の後、東京組は楊麻紗先生と共に秋篠寺へ参りました。かねてより、楊名時先生がお慕い申し上げていたという「技芸天」にお会いするためです。
その天女は国宝の小ぶりな御堂の中で、右手を胸のあたりまで上げ、ほんの少し腰をひねられて伏目がちで大らかなお顔でお立ちになっておられました。太極拳の「雲手」から「単鞭」に移る時の腰のひねりを、技芸天の何気ない仕草を参考にするようにと、楊名時先生がおっしゃられていたそうですが、なるほどなんともいえぬ自然で上品なお姿でありました。
歌舞音曲など芸能の神様と崇められる「技芸天」が身を潜めるように小さなお寺に安置されておられことにも、楊名時先生は感動なされたのではないでしょうか。折りしも御堂を後にする頃より春の小雨が降り始め、境内の白木蓮がなおいっそう白く浮かび上がっており、心に残る秋篠寺参拝でした。
曽根田 千恵子
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