全員が輪になって「百華拳」
寒気が少し緩み好天に恵まれた1月6日、「楊家養心太極拳新春初稽古」が東京武道館において開かれました。今年は例年と違い午前１０時からの開始でしたので、遠くから参加される皆様は大変で、参加者は昨年より少ないのではないかと思われましたが、何と例年より多い１００名近くの参加者がありました。
ドン、ドン、ドーン、木村鎮夫師範の打つ大太鼓が武道場に鳴り響き、全員が整列。いよいよ新春稽古の始まりで、開会の辞の後の田村久夫師範の力強い一本締め音頭により、新年の喜びが会場いっぱいに弾けました。
立禅、ソワイショウ、八段錦、太極拳を全員で心を一つにして舞った時は、物音一つ聞こえず１００名近い参加者がいるとは思えない静寂の世界が広がりました。
続いて、昨年から行われている８０歳以上の方の「長寿者の表彰」に入りました。今年は５名の方が表彰され、大きな祝福の拍手を受けられました。本当におめでとうございました。
楊麻紗先生による今年のご講話は、楊名時先生の富士山に関すること、国立小劇場で太極拳を演舞された時の興味深いエピソードでした。
楊名時先生は富士山が大好きで、東海道新幹線に乗る時は富士山が見える側の１５番の座席を、自ら駅の窓口で購入するとのこと。そして、当日富士山が車窓から見えると、「きれいだね」と顔を綻ばせますが、見えないととても残念がるそうです。
また、国立小劇場での太極拳の演舞の４ヶ月前、楊先生は看板を飛び越えようとして転び背中の筋肉を傷めてしまい、椅子に寄りかかって眠らざるを得ませんでした。演舞当日、背中の痛みはかなりあったそうですが、楊名時先生は着物と袴の舞台衣装で見事に舞い、大喝采を受けられたとのことです。その時の写真を掲げながらの麻紗先生のお話に、皆様聞き入っていました。
そして、参加者全員の紹介にはそれぞれ拍手で応え、その後しばしの休憩に入りました。
後半の部の「百華拳」は二重の輪を二つ作り、３回楽しく舞いました。３回目は初めての方も動きを覚え、「きれいな華になりました」と、麻紗先生から褒められました。 次に、師範とその他の方々の演舞に移りました。師範の皆様は後半速度が少し乱れましたが、運足、気息、着眼などはさすがベテランと頷けるものがあり、その他の方々の演舞は、落ち着いた流れがとても良く、全体として纏まっていました、と麻紗先生の講評でした。
最後は、全員で太極拳、八段錦、立禅、ソワイショウを舞い、あらたまの新年を寿ぎ1年の健康と幸せを祈る「新春初稽古」は、終了となりました。
坂寄 尚子記
写真提供：牧野 智子さん、長野 卓雄さん、有村 祐香さん、事務局
楊麻紗師家が話す「楊名時先生の思い出・国立小劇場の演武」
楊名時太極拳演舞・師範・先導：野田 久子師範
楊名時太極拳演舞・師範を目指している皆さん・先導：河原 達師範
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