私が太極拳と出会った瞬間、それは今から5年前上石神井体育館のジムでトレーニングをした後、受付カウンターの横に道着を着て黒帯を締めた楊名時先生のパネルを見たのが、楊名時先生と出会った瞬間であった。私は帰るため体育館の出口へと向かった、その時、楊名時先生が私に「太極拳をやらないか!」と声を掛けてくれました。「え、私ですか!!」
その時、帰る自分とパネルを気にかけていた自分がいた。帰りたい自分は太極拳のことは興味もなく、全く分からないしやる気もなかった。しかしもう一人の自分の心の中には、(は、はい、やります!)と先生に言葉を返していた。
そして、即入会した。
稽古当日、ワクワクした気持ちで教室に入った。稽古が始まり何度か体を動かした時に思った。手をふらふらと動かし左へ行ったり、右へ行ったり、何をやっているのかさっぱり分からない。 簡単な動きに見えるが力を入れないで動かすことは難しく、まるで自分はロボットだ。体の使い方は日数が経てば出来ると思ったが、そうではなく年数の勝負だと後で知った。今思えば、最初の一年は何をやっていたのか全然分からなかった。
3年が過ぎた頃、楊砂織先生とディミトリー先生と上石神井の皆で5月、新宿御苑に花見に行った。桜が咲き広く大きい空、大きな樹木の葉が茂り、芝も緑で気持ちが良かった。「ここで太極拳をやったら気持ちいいですよね!!こんど新宿御苑で太極拳をやりませんか!いいかもしれない、いいですね!」、これがあおぞら太極拳の始まりの瞬間だ。
今回3回目となるあおぞら太極拳を、師家楊麻紗先生をお招きして行われたこと、また各教室の楊名時太極拳を愛する皆さんが参加して交流が出来たことは、素晴らしいことと思います。今回太極拳を演舞している時、麻紗先生の手や帽子に赤トンボが大空から降りて止まった。もしや楊名時先生がトンボに変わり参加して見て下さっている、そんな気持ちになった。
最後に麻紗先生が中国に行った時、上海の太極拳の老師から伺ったお話をしてくれました。それは「公園は囲いにない病院だ」と。広い公園で太極拳をして腕、腰、脚等の筋肉を使って大空からの気、また芝の香り等を感じ感性を磨けば、病気はよくなるし、病気にもなり難くなる、と説明して下さいました。
太極拳は体に良いと言いますが、やって効果がすぐ出るものではなく、地道に諦めず継続すること。そして調身・調息・調心を意識して、心で稽古を積み重ねることで成長に繋がる、これが最も大事だ。続けた先に何かがある、また続けた人だけが手に入れる事が出来る何か(体に良いもの、自分の健康と幸せのため)、技を競わない健康太極拳、これが楊名時太極拳だ!あおぞら太極拳ありがとうございます。
文:栗山一雄さん
写真提供:楊砂織師範
2018/9/30
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