“愛多く”のハガキ誕生秘話

    「あせらず、いばらず、おこらず、おこたらず、くさらず」の五つ言葉が合掌の様な形の絵の中に書かれているハガキを、ご存知と思います。故楊名時先生は、大好きなこのハガキをいろいろな所で紹介したために、楊名時先生の創作と思っておられる方も多いのではないでしょうか。つい最近、このハガキが誕生するまでの美しいエピソードを知りましたので、ご紹介します。

     病気の問屋だったと自称する小川睦子師範が、楊名時太極拳で救われ、朝日カルチャーセンター新宿の講師を務めるようになった時のことです。朝日新聞「天声人語」の筆者である辰野和夫氏より、上記の五つの言葉を聞いたのが始まりです。五つの言葉は、日本で人に何かを教える立場の人々に好まれ、伝わってきたものです。

    小川睦子師範は、この言葉を絵ハガキにして仲間に伝えたら、きっと喜ばれるのではないかと考えました。しかし自分には絵心がないので、近所に住む友人に頼んだところ快諾をしてくださり、小川睦子師範のイメージの絵ハガキが出来上がりました。朝日カルチャーセンターの初めてのお手当てで代金を払った、思い出の絵ハガキだそうです。

    その絵ハガキを早速故楊名時先生にお見せしましたら、「これはいいものだね。五つの言葉はひらがななので、頭の文字あ・い・お・お・くを漢字の“愛多く”に変えたらイメージがはっきりし、より意味が深まるのではないか」とおっしゃいました。そうして「太極拳もこの言葉を大切に稽古していきましょう」と“功到自然成”の言葉を添え、楊名時先生がサインをして下さって絵ハガキが完成しました。

    なお、絵は合掌を表すと同時に十字手も表しているそうです。小川睦子師範の生徒さんに喘息の方がおり、十字手を頭上まで上げることができず、胸の高さまでがやっと。その動きをイメージして、絵を描いてもらったのだそうです。美しい話ですね。

    絵ハガキ大切にしましょう。

    2007年1月15日

                                                       楊麻紗

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