3月30日、恒例の唐招提寺参拝は春の嵐でした。東京を発つときから雨模様で、京都あたりでは本降りに。奈良も京都と同じだろうと思い、少し不安が心の隅によぎる。過去に太極拳の行事で雨のために中止になったことは一度もなかったので、雨でも太極拳を行う時は必ず晴れると信じていました。しかし、今回は少し違っていました。
唐招提寺の最寄駅である西ノ京に降りると、雨は一段と強くなり風もでてきて傘が上手くさせないほどです。唐招提寺近くのお店で昼食をとっている間、いくらか小降りになったように見えたが、私たちの願いとは裏腹に相変わらず雨は止まず、咲き始めた桜を打っている。
1時30分に東京、常滑、大阪(三輪紘子教室)、京都、奈良の参加者が集合し、演舞場所の本堂裏庭に行っても時折大粒の雨が落ちてくるため、本堂の大庇でしばし雨宿り。空を見上げると雨雲が気忙しく動いている。奉納演舞を後にして、鑑真和上様のお参りを先に行う方がよいか思いあぐねていると、雲が少し切れて明るくなってきました。
「今がチャンス。さ、演舞をやりましょう!」
私の掛け声で皆は演舞の体制に入りました。雨に洗われた境内は清浄そのもので、観光客の姿はどこにもない。演舞が進むにつれて薄日が差し、どこからか鶯の声も聞こえてきました。そして、とうとう奉納演舞が終わるまで一粒の雨も落ちてきませんでした。やはり神仏のご加護があるのです。演舞が終わった途端、喜びの大拍手が起こりました。雨宿りの時は誰しも演舞は無理かな?と思ったに違いありません。
それだけに感動もひとしおで、
「今年の演舞はとても気が高まっていました」、「感動で体が震えました」「すごい、不思議なことが起こるんですね」などの声が上がりました。
そうなのです、唐招提寺では不思議なことが起こるのです。それは奇跡と言ってもよい。今まで3回起こっているのです。今回は春の嵐の中、改めて楊名時先生と鑑真和上のお導きを確信した、印象深い奉納演舞でした。
演舞のあと、雨上がりの緑鮮やかなコケの庭を通り、和上様の廟にお参りしました。
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太極拳舞ふなり春の嵐止み
楊 麻紗記
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