緑の草原と青い空を訪ねて

緑の草原と青い空を訪ねて 01 楊名時太極拳24式  八段錦  

7月末から8月初に掛けて、帯津先生のモンゴル旅行に参加させていただきました。内モンゴルの海拉爾(ハイラル)からロシア国境の額爾古納(グルクナ)へ向けての200数十キロのバスの旅でした。

夜中に到着した海拉爾の町は、こんなことをしていてよいのかと思うほどネオン輝く町でしたが、翌朝出発しますと町を出た途端に草原が拡がり、馬と羊と牛だけの世界に変わりました。

草原と空の他は、何も目に入ってくるものはありません。山も見えなければ1本の木も見えません。聞いたところでは、草原の下には僅か15cmの粘土層があるだけでそれ以下は永久凍土のため樹木は育たないのだそうです。

しかし、このような所でも遊牧民たちはパオをポツン、ポツンと其処此処に建てて家族単位で悠々と暮らしています。

夏の3か月の他は、すぐに冬がやって来て零下30度にもなるというのにオオカミ避けの犬と数人の家族だけで数百頭の羊や牛を守って暮らしているのですから、ほとほと感心してしまいます。恐らくは彼らは天地の気に満たされて、それなりに充実した生を送っているのでしょう。今回の旅に参加させていただいた私共も、この気を少し分けていただいた次第です。日本に帰りましてからも、時として瞼の裏に果てしなく広がる青い空と緑の草原が浮かんでまいりますが、これを太極拳の静寂と日常生活の中で大切にしていきたいと思っております。

木村鎮夫

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