写真提供:牧野 智子さん
大寒波によって前日までは東京でも寒い強風にときおり小雪も舞う天気でしたが、新年懇親会当日は上野公園の大寒桜(おおかんざくら)の桜色が青空に映える、陽射しが明るい日となりました。またも楊名時先生が素晴らしいお天気にして下さいました。
会場には楊名時先生のお写真が飾られ、この場に集う楊家養心太極拳の同学の皆さまと一緒にこのひと時を楽しんでおられるようにも感じました。国立劇場で白鶴の舞を披露された時の袴姿のお写真で、舞台の幕には白鶴があしらわれており、倒捲肱で後ろに下がる動きをされているお姿ですが、体調が万全でなかったにも関わらず見事に舞われた先生が、「袴の裾がひっかからないようにずいぶん気をつけた」とおっしゃっていたとのエピソードが楊麻紗先生からご披露されました。
もともと武術であった太極拳を「一人の宮本武蔵より万人の健康を」との考えから日本で広められたこと、また、「たゆまず繰り返す稽古の成果として芸術の高みに昇ることもできるのが白鶴の舞でありますので、私たちもそれを目指して太極拳を続けて参りましょう」というのが楊名時先生の哲学であったとのご説明も頂きました。
主賓の帯津良一先生の、人間としての尊厳を傷つける治療を離れた「大ホリスティック医学」の時代がまさに目の前に来ているというお話は、気功太極拳を日々の生活で実現していこうとしている私たちにとって、大変深い示唆に富んだものでした。また、長い年月帯津先生を支えてこられた山田幸子婦長さんの生前葬のことにも触れられて感謝の念を表しておられました。
海竜社の下村社長様の乾杯のご発声では、いつも通りのウィットに富んだ暖かいメッセージを頂戴し、サプライズで帯津先生の最新刊のご著書『Dr.帯津のこれが究極の長寿法100の智慧』を会の参加者全員にプレゼントして頂きました。ありがとうございました。
続いて長年稽古を続けられて養心会をずっと支えていただいてきた諸先輩の皆様から、お言葉がありました。
佐久間登師範は91歳になる現在も医者いらずとのことですが、かつて人に勧められて初めて太極拳に行ってみた時は女性ばかりのお教室で大変驚いたこと、また3つの教室に通って一生懸命お稽古されたことをお話し下さいました。
いつも会報に素晴らしい写真を提供してくださる安田要師範は、25~6年にも渡る大きなご縁を太極拳から頂いていること、それは楊名時先生のお人柄によるところであるとおっしゃっていました。
山田幸子婦長のお話では、35年間帯津先生のもとで真摯なお仕事をさせて頂いたとの言葉には、先生と阿吽の呼吸でお仕事をされてきた方ならではの重みを感じました。
続いて服部洋之師範が恒例の「太極拳経」を吟じて下さり、楊砂織師範・ディミトリ師範による今年の抱負発表で一同期待に大いに沸いた後、田村久夫師範による三本締めにより新年懇親会は幕を閉じました。
今回初めて参加された方々も、いつもは各教室でお稽古されていて毎年この会でだけお会いできる方も、久しぶりでご参加の方も、精養軒に集った全員が美味しいお食事と打ち解けた雰囲気に、元気で明るい笑顔でいっぱいになりました。
はるばる愛知県からご参加下さった杉江満州夫師範率いる皆さまは、大寒波の悪天候の影響による高速道路状況に阻まれてしまい、本当に残念なことに席をご一緒することが叶いませんでしたが、本会がお開きとなった後に楊名時先生のお写真が飾られた別室で、同じお食事を楽しんで頂きました。
今年は楊名時先生がご逝去されて13年の年ですが、楊家養心太極拳にご縁する皆さまの心の繋がりは、ますます深くてゆるぎないものになっていると確信し、深く温かい思いに満たされた一日でした。謝謝。
牧野 智子記
コメント