「他を知ることで己を知る」
私は楊砂織先生の最初の教室の栄えある一期生で、自称一番弟子(あくまで自称)。先生に教えを乞うて丸6年になります。
教室のあるふじみ野市は、東日本大震災の福島県の被災者の方を、多数受け入れています。そういった関係性もあり、教室がスタートした翌年から、市民講座が行われているフクトピアで「東日本復興支援 フクトピア・チャリティフェスタ」が開催され、私達の教室は第1回から今年の5回まで、毎年参加して太極拳の演舞を行っています。
市民講座には多くの太極拳教室があり、今年は私達の教室の他に3教室合同の制定拳、太極扇、太極剣の発表がありました。同じ24式の太極拳を音楽の流れる中、全く別の表現で舞うのを見ることができる、とても興味深い貴重な機会でした。
しかも、合同チームの出番は私達の演舞の直後だったので、観客の方は両者の違いに尚さら驚かれたことと思います。私達楊名時太極拳は、無音で行ういわば「動く禅」。
毎回のことなのですが、観客の皆さんに楽しんで頂けるか、楊名時太極拳の素晴らしさが伝わるか、ドキドキします。しかし、演舞が始まれば、皆さん静かにほど良い緊張感で注視され、演舞が終われば大きな拍手を頂きます。
合同チームの演舞は、いずれも音楽があるので動きが合わせ易く、運動量が多いため高い身体能力を要し、ひとつひとつの決めポーズもカッコいい大変素晴らしいものでした。
しかし、素晴らしさに感心しつつ、分断される動きに「どこに心を乗せれば良いのだろう、心の置き所が無いなあ」と感じました。と同時に、他を知ることで、楊名時太極拳の静けさの中の緊張と緩和のバランスの素晴らしさ、それらを体感することができました。そして、今ある自分の幸せを知ることもできた非常に貴重な経験でした。
太極拳をやっていると言うと、必ず「何に効くの?」と聞かれます。しかし、体験した事の無い方に一言で伝えるのは難しいことですが、多くの方が楊名時太極拳により、沢山の健康効果を得ていることと思います。
私自身で一番大きく変わったのは、心だと思っています。まだまだ修行が足りませんが、<和を以て貴しと為す、争わない心、日々是晴天>などの教えが、私の心のしこりを解してくれます。そんな堅苦しいことよりなにより、楊名時太極拳は気持ちが良い!
その一言に尽きます。
これからも砂織先生の下で、時に厳しくほぼ楽しく、日々鍛錬に励むことを誓い、締め括りとさせて頂きます。
ふじみ野・中里 千恵子記
写真提供:有村祐香さん
コメント