百華拳
令和になって初めての1月4日、晴天に恵まれた東京武道館は、早朝から様々な日本の伝統武道の初稽古で賑わっていました。楊家養心太極拳の新春初稽古にも、関東圏のみならず遠方からの方も含めて90名近い多数のお仲間が集まりました。
田村久夫師範の気合の入った一本締めにて皆で新たな年のスタートを祝い、八段錦から稽古が始まりました。清々しく凛とした新年の空気に満ちた松の板の間の道場で、通し稽古で太極拳24式を舞うと、道着の絹ずれの音がひとつに揃い、その場にいる皆の気が一つとなって高まって、まことに充実して幸せな気持ちがしました。
師家楊麻紗先生のご講話は、今年は楊名時先生の生まれ年(1924年のねずみ年)であり、この年に阪神甲子園球場が開場した、十干十二支では甲子(きのえね)の年だったことから始まりました。
楊名時先生が気功太極拳で目指したものは何だったかというと、普通の太極拳との大きな違いは、調身・調息・調心という三つの要素、これはもとは天台宗の座禅の心息動からきているそうですが、そのなかで特に「心」を大切にした点にあります。
ところがこの「心」が一番難しく、実は姿勢を正しくして合理的で無理がない動きをすることにより呼吸が整って「心」は整います。太極拳の学びの一助となるように、研修会ではビデオを使って動きを細かく分解して、どこも無理なく、どこをとってもバランスがとれている楊名時先生の動きを解説しています。皆さまの奮ってのご参加をお待ちしています。
楊麻紗先生の以上のご講話を伺ったあとは、2グループに分かれて太極拳24式の演舞でした。
師範グループの演舞では、指先、足先、眼線の向け方などさすがに稽古の年輪を重ねた様子がにじみ出ているもので、さらに皆で演舞しているまとまりの素晴らしさは抜群だった、と楊麻紗先生からお褒めの言葉を頂きました。 後半のグループの皆さまも、舞いの流れはすっかり身に付いておられ、とても上手な演舞でした。皆さま初心者の域を少し超えて、舞う楽しさが分かってこられたからこそ醸し出された雰囲気だったように思われました。
新春稽古ならではの全員での百華拳は2重の輪の花が二つ、見事に大きく咲きました。また、ご高齢の参加者の表彰では、とてもその年齢とはお見受けできないお元気な皆さまの様子に、参加者一同から賛辞の拍手が湧きました。
新年のスタートに初稽古に参加してこのような充実した時間を過ごすことで、今年もまた地道に太極拳の稽古に精進していこうという決意を新たにしました。
文:牧野 智子さん
写真提供:長野卓雄さん、有村祐香さん、 事務局
2020/1/19
楊名時太極拳24式:全員
楊名時太極拳24式演舞①
楊名時太極拳24式演舞②
名時太極拳24式演舞③
表彰式
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