楊名時先生は、2005年7月3日に亡くなられました。高尾山の山間の公園墓地に、楊名時先生は眠っておられます。墓名には楊名時先生自筆の「夢」の一字が彫られ、山裾の竹林を正面に西向きに建っています。
私たち家族は、毎月お墓参りに行くのですが、いつも不思議なことが起こります。それはお墓に向かうと、見たことのない蝶や鳥が飛んできて、すぐ近くの木に止まって、私たちが去る頃にはいなくなってしまうのです。また、鳥がお墓の真上を三度も輪をかいて飛び去ったり、頭上を美しい声で鳴きながら過ぎ去ったり。春の鶯、晩夏の蜩などは、特に美しい鳴き声で墓参りを喜んでくれているように思えます。
“霊は飛ぶものに姿を変えてくる”と聞いたことがあります。本当なのかどうか分かりませんが、私はこの言葉を信じ、蝶や鳥たちは楊名時先生の化身なのだ、と思っていつも楽しみにお墓参りに行きます。旧盆の8月15日もお墓参りしました。
また、最近の墓石には思い思いの字が彫られています。心、和、寂、神は愛なり。変わったものでは、星に願いを、といった具合です。これらの墓石の字の中で一番多かったのは、「倶会一処」です。この言葉は阿弥陀経が出典ですが、あの世でまた一緒に会いましょうという意味です。
私は、あの世でまた楊名時先生にお会いし、仲間と共に太極拳を稽古したいと思っています。そのために、生ある限り楊名時太極拳をしっかり伝えてゆこうと思うのです。
楊 麻紗
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