(2)禁酒禁煙/楊名時先生のエピソード

日本武道館での教室は、地下にある柔道場でしたので畳の部屋でした。太極拳の指導者は、楊先生お一人。30名の太極拳について何も知らない初心者を相手に、楊先生は前に立ったり後ろに回ったり、ある時は足元が見えないからと言われて台に登ったりと、孤軍奮闘されたものです。

 最初は木曜日の夜だけでしたが、後に金曜日のクラスが増え、月2回の稽古は8年間続き、この間楊先生は一度も休まず太極拳の指導をされました。太極拳の指導を契機に、お好きだったタバコをきっぱりと止められました。

 しばらく経ってから、楊先生に伺いました。

 「先生、タバコはなかなか止められないと聞きますが、簡単に止められたんですか」

 「吸っている人を見ると吸いたいと思った時もあったけど、健康法を教える指導者が体に悪いタバコを吸っていたんでは示しがつかない。また、タバコは呼吸法によくない。太極拳は呼吸法が大切だからね。だから止めたんだよ」とおっしゃっていました。

 楊名時太極拳の研修、合宿は禁酒禁煙です。太極拳の稽古を続けているうちに、いつの間にかタバコが自然に止められたと言う人が増えてきました。

楊麻紗

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