22日(土)、プロ野球日本シリーズが開幕し、32年ぶりの日本一を目指す広島カープが、初戦と第二戦をものにしました。また、このシリーズを最後に黒田博樹投手は引退を表明しました。黒田博樹投手は去る7月23日、日米通算200勝を達成しましたが、そのニュースをテレビで見ていた時、黒田博樹投手の喜びの表情とともに、意外な座右銘が私の耳を捉えました。
その座右銘は、「雪に耐えて梅花麗し」
「あれ?楊名時先生が、毎年梅の時期に話されている句と似ている。麗しではなく香る、という字の間違いではないのか」と、一瞬思いました。そして、黒田博樹投手の座右銘は維新の三傑の一人であり、江戸無血開城などで多くの人に慕われている政治家・軍人である西郷隆盛の漢詩「偶成」の一節から採ったということを知りました。そして、黒田博樹投手は高校の書道の授業でこの句の読み方と意味が解り、それ以来、座右銘を人生の指針としていくつかの困難を乗り越えてきたのだそうです。
野球選手の座右銘としては、一球入魂、努力、不動心、闘魂などが多いのですが、黒田投手の座右銘の場合は漢詩から採っているので、珍しいことと思いました。そして、41歳という高齢で大記録を達成した黒田博樹投手に、心から拍手を送りました。
また、楊名時先生の話される句は、「梅花風雪に耐え、時到れば雅香を放つ」
です。両句とも梅の花が雪の寒さに耐えるからこそ、美しい花が咲き芳香を放つように、人も辛いことや苦しいことを耐え忍ぶことにより成長する、ということを意味しています。西郷隆盛の「偶成」は、甥の市来政道がアメリカに留学する時に贈ったもので、西郷隆盛が49歳で亡くなる5年前だそうです。
さて、私が公私で鹿児島を訪れる時の定宿は、「城山観光ホテル」です。楊名時先生と初めてこのホテルに泊まってから、20年ぐらいになります。ホテルは城山という小高い山の上にあり、桜島をはじめ錦江湾や鹿児島市街が一望でき、夜景も素晴らしくまた、温泉は<美人の湯>としても有名です。
城山は西郷隆盛が西南戦争に敗れ亡くなった場所のため、桜花の時期にこのホテルに泊まると、西郷隆盛の強い信念と豊かな人間性を想わざるを得ません。
因みに、西郷隆盛の座右銘は「敬天愛人」。
この言葉も楊名時先生はお好きで、太極拳の稽古の時よく話されていました。
願わくばこの日本シリーズに広島カープが優勝して、黒田博樹投手引退のはなむけになれば嬉しいです。
楊 麻紗