楊名時先生は常々、「楊家の太極拳は清王朝の方々に太極拳を教えたので、何よりも品格を重じた」とおっしゃっておりました。従って、楊名時太極拳も、品格を下げてはいけませんよと。
では、その太極拳の品格は、どこから生まれますか?と尋ねましたら、即座に
「打算をしないこと!」
と答えられました。楊名時太極拳は技の上手下手を云云したり、競い合ったりするのではなく、素直な心でその人の一番楽な状態で体を動かして舞うため、舞う人の人格が表れるのです。
人に格好よく見せようとか、人を許すことができない人、てらいのある人の太極拳はどこかに力みがあり、癒しの太極拳になりません。全ての世俗を忘れて、空間の中に溶け込むような感じで動くとが大切です。
「太極拳は人なり」です。太極拳を稽古することは、健康を維持するだけではなく、日々人格を磨く修行でもあるのです。
楊麻紗